農作業工程について

畑で野菜を作る工程を説明させていただきます。

大まかに、畑の土作り、肥料の散布、播種(種まき)、追肥・草刈り・防草作業などの管理、収穫、荷造り・出荷、耕運・耕起までが、1つの作物の農作業工程です。

手間と時間は掛かりますが、安心と安全、そして食していただく皆様の口福(こうふく)を創造するため、日夜努力いたしております。

1.畑の土づくり

 畑には良い土づくり大切です。農家としては基本中の基本の作業になりますが、この土づくりが未来の青果物の良し悪しを決めると言っても過言ではないと思います。この事から、土づくりが正しくできないと、どんな作物も正常に育てる事ができないと思います。育てる作物によっては、1~2カ月以上前から、丁寧に土づくりをしないと作物の成長の段階でダメになったり、途中で生育が止まったり、病気になってしまうなど、様々な問題の原因になる場合もあります。この事を踏まえて、しっかりと土作りを行っていきます。

2.肥料の散布

私の作る野菜には、科学肥料と有機肥料のバランスを考え、野菜毎に調整して散布しています。最終的に皆様に食べていただく野菜は、美味しくなければ「口福(こうふく)」にする事ができないと思っているので、土作り同様、しっかりと散布していきます。

3.耕運・耕起

肥料を散布し終えたら、肥料成分が土の中に染み込むように、そして、一か所だけに肥料成分が固まらないように、耕運・耕起を行います。この作業をしないで、播種(種蒔き)を行った場合、畝(うね)と、畝の間が雑草だらけになってしまったり、後程、草刈り、防草作業に大きく影響してしまうので、丁寧に行う必要があります。

4.播種(種まき)

 土作りが終わりましたら、いよいよ種蒔き(播種)の作業になります。私の住んでいる地域では、多くの農家さんが「農業用マルチ」を使用して種まきをしています。野菜の種類によって、マルチを使用しない場合もありますが、少しでも良い製品を作りたい、作物に良好な環境で育って欲しいと考える方が多い地域のではないでしょうか?マルチを使用する事で、様々なメリットがありますので、資材費がかかりますが、お客様の笑顔を創造するためには妥協できない大事なポイントの1つでもあります。

5.追肥・草刈り・防草作業などの管理

 農場を管理する項目の中で、一番地味な作業ですが、この作業をしなければ、きれいな作物、良い作物が育たない、重要な項目の一つになります。作物が育つ畑の中も大事ですが、作物を育てない外側も、綺麗に除草するなどして、状態を保つようにします。

6.収穫

 待ちに待った収穫の時期が来ました。野菜の美味しさに大きな影響をする要素と言えば、やはり鮮度になるのではないでしょうか?収穫から、食卓までに届く時間が短ければ短いほど、鮮度が良いと思いますが、収穫時の野菜の状態により、どの時点での収穫が適切なのか見極めなければいけません。また、これに天候の要素も加わるため、単純に考える事が難しい状況です。日照り続きだったので、畑にある時点で萎びているが収穫をした方が良いのか?雨が多すぎて、根が腐り始めてきているので、いつもより収穫時期は早いけど、収穫しなければならないのか?などなど、、、土作り、播種と同様に収穫に対しても、真剣に考えなければいけません。

品目毎生産野菜の動画は、下記を参照してください。

6.選定・選別

 収穫してきた野菜の選定作業を行います。収穫してきたばかりの野菜は、土が付着していたり、傷が着いてしまったり、少し色が変わってしまったなど、障害を取り除いて、お客様のへ出荷できるようにするための選定作業を行います。この作業は、地味な作業になりますが、間違った商品をお客様の元に届けないようにするための大事な作業工程の1つです。

8.水洗い

弊社の葉物野菜は、水洗いを行っています。『え!?普通の葉物野菜は洗っていないの?』と思われた方、ぜひ、スーパーに行った際は、葉物野菜の根っこを見てみてください。多くの葉物野菜は、洗われていない状態、土がついた状態だと思います。これは、どのような状態かと言うと、畑から収穫の段階で、そのまま袋に詰めている事になります。たしかに、この作業の方が、野菜を洗わない分、農家の手間が減るのですが、お客様にとってみたらどうなのでしょうか?葉物野菜を手間をかけて洗う農家が少ない理由がわかっていただいたと思います。私は、自分の製品には責任があると思っていますので、お客様視点で本当の意味を考え、農家の手間なのですが、一工夫の意味で洗う事は大事だと思います。

9.脱水

水洗いした野菜を脱水機にて、余分な水分を飛ばします。何故、脱水機を使うかと言うと、仮に水が多すぎた場合で袋詰めを行うと、袋の中が水浸しになってしまい、野菜の腐食を促進する原因になってしまう事があります。野菜にとって必要な水分量を確保したうえで、綺麗に袋詰めをするため、弊社では、脱水機を経由した野菜から順番に袋詰めを行います。

10.袋詰め・荷造り

 水洗いが終わった野菜を、丁寧に一袋一袋詰めていきます。この袋詰めの際、傷んでいる個所はないか?製品の品質は大丈夫か?きちんと綺麗な状態か?など、お客様の手に渡る最終段階の確認になるので、一段と気を引き締めて対応するようにしています。

11.出荷

製品がお客様の手元に無事届き、私の作った野菜で、口から含む幸せ「口福(こうふく)」が創造されている事を祈ります。

.耕運・耕起

全ての出荷作業が終わりましたら、次に畑を使えるようにするため、トラクターにて耕運作業を行い畑を綺麗な状態にしておきます。この作業を行わないと、畑が草だらけになってしまい、次の作物を生産する事ができなくなってしまいます。全て終わったら、一度片づける!これは、どの仕事においても大事な作業だと思いますので、最後まで丁寧に仕事を行います。

弊社の農産物は、減農薬栽培にておこなっています。

減農薬栽培とは、、、

その農産物が生産された地域の慣行レベル(各地域の慣行的に行われている節減対象農薬及び化学肥料の使用状況)に比べて、節減対象農薬の使用回数が50%以下、化学肥料の窒素成分量が50%以下、で栽培された農産物です。

減農薬栽培・低農薬栽培

農薬を使わないと、農作物の収量はどのくらい減るかを説明させていただくと、ある程度収穫できる作物もありますが、収穫できなくなる作物もあります。私の農産物は、葉物野菜が中心ですので、農薬を使わないと、収量が激減してしまうケースがほとんどです。また、農薬を使用しない事により、品質が低下し、販売金額が大幅に減少する事もあります。農薬を使用しない場合の病害虫による収量・品質の影響について(一社)日本植物防疫協会による試験結果 があります。農薬を半分以下にしたから大丈夫ということでは決してないはずですが、最低限の農薬で管理できるよう、日々、作物に目を光らせています。

口に入るものは間違えない

食の安心・安全を届ける事が、絶対に守る必要のある農家の使命だと思います。色々な工程を全て管理しなければならない中で、基本となる食の安心・安全を確実に守っていくため、栽培品目毎の工程を記録し、know-howの蓄積をデータベース化して、後世に残せる農業の体制も築いています。